プロの害虫駆除業者として数多くの現場を訪れてきましたが、お客様から最も多く寄せられる質問の一つが、なぜ夜になると急に現れるのかというものです。その答えは、彼らの持つ徹底した夜行性にあります。私たちが夜間の点検を行う際、特殊なライトで冷蔵庫の裏やシンクの下を照らすと、そこには日中には想像もできないような光景が広がっていることがあります。彼らは光を極端に嫌う正の走光性ならぬ負の走光性を持っており、強い光を浴びると本能的に逃走ルートを探します。一方で、赤色などの特定の波長の光には鈍感であるため、私たちはそうした性質を利用して彼らの夜間の行動パターンを観察します。現場で分かったのは、彼らが夜間に移動する距離は想像以上に長く、一晩で家中の主要なスポットを巡回しているということです。特に多湿な夜や、気温が一定以上に保たれている室内では、彼らの活動はさらに活発になります。多くの一般家庭では、日中に姿を見かけないからといって安心していますが、それは大きな間違いです。彼らは日中、物理的に侵入不可能なほど狭い隙間に体を平たくして潜り込み、じっと夜を待っています。私たちが駆除作業を行う際、最も重視するのはこの潜伏場所の特定ですが、夜行性の彼らを誘い出すためには、彼らの夜の行動範囲に毒餌を配置するのが最も効率的です。また、興味深いことに、彼らは夜間であっても完全に無秩序に動いているわけではありません。決まった壁際を通り、決まった水場を目指すといった、ある種のルートが存在します。プロの視点から言えば、夜間に遭遇した場所を記録しておくことは、その背後にある巣の位置を特定する上で非常に重要な手がかりとなります。もし夜中にキッチンで見かけたなら、その近くの引き出しの裏や、電化製品のモーター周辺が彼らの日中の隠れ家である可能性が高いのです。夜行性という性質を単なる恐怖の対象として捉えるのではなく、彼らが活動せざるを得ないタイミングを特定し、そこで集中的に叩く。それが、我々プロフェッショナルが長年の経験から導き出した、最も確実な制圧方法なのです。
害虫駆除の現場から見た夜行性の真実