庭先や軒下でスズメバチの巣を見つけた際、真っ先に頭をよぎるのは業者に依頼するか、それとも自分で行うかという葛藤でしょう。結論から申し上げれば、自分での駆除は巣の大きさが十五センチ以下で、かつハチの種類が攻撃性の低めなコガタスズメバチやキイロスズメバチの初期段階に限られます。もし巣がオオスズメバチのものである場合や、大きさがバレーボール大を超えている場合は、迷わず専門業者を呼ぶべきです。それでも自分で駆除を試みるのであれば、まずは徹底した準備が不可欠となります。スズメバチは非常に警戒心が強く、不用意に近づくだけで仲間に警報フェロモンを出し、集団で襲いかかってくる性質があるからです。防護服の代用として厚手の白っぽい作業着を重ね着し、肌の露出を一切なくすことは基本中の基本です。ハチは黒い色に対して激しく攻撃する習性があるため、全身を白で固めることは生存率を高めるための必須条件といえます。次に重要なのは、作業を行う時間帯です。日中は働きバチが餌を求めて外を飛び回っているため、この時間に巣を叩いても、後から戻ってきた「戻り蜂」に背後から刺されるリスクが極めて高くなります。最も安全なのは、日が沈んでから二、三時間が経過した夜間です。ハチは夜になると視力が著しく低下し、巣に戻って休息しているため、一網打尽にできる確率が上がります。ただし、夜間の作業には別の危険も伴います。懐中電灯を直接巣に向けると、ハチはその光に向かって飛んできます。光を当てる際は赤いセロハンをレンズに貼るなどの工夫が必要です。ハチは赤い光を認識しにくいため、刺激せずに巣の位置を確認できます。駆除に使用する殺虫剤は、必ずスズメバチ専用の強力なものを選んでください。市販の製品には十メートル以上の飛距離を持つものがあり、遠距離から安全に噴射することが可能です。一回の噴射で仕留めるつもりで、一本まるごと使い切る勢いで巣の中に薬剤を流し込んでください。一度攻撃を始めたら、途中で止めることは絶対に許されません。ハチがパニック状態で飛び出してきても、防護を信じて噴射し続ける勇気が求められます。翌朝、巣の周囲で活動するハチがいないことを確認してから、長い棒などで巣を落とし、二重にしたビニール袋に密閉して処分します。この際、まだ生きているハチや、巣の中に残っている幼虫がいる可能性もあるため、素手で触れることは厳禁です。さらに、巣を取り除いた場所にはハチのフェロモンが残っているため、再び巣を作られないように忌避剤を散布しておくことが、再発防止のための最後の仕上げとなります。
素人が挑むスズメバチ駆除の絶対条件と安全確保