照明カバーの中にいる大きな虫の影。クモであってほしい、という淡い期待もむなしく、その影が、紛れもなく、あの特徴的な長い触角と、平たく黒光りする体を持つ「ゴキブリ」であったなら、それはあなたの家が直面している、最悪のシナリオの始まりです。ゴキブリが照明器具の中にいるということは、単に一匹が迷い込んだというレベルの話ではありません。それは、あなたの家のゴキブリ問題が、すでにかなり深刻な段階に進行していることを示す、極めて危険なサインなのです。なぜなら、ゴキブリは、本来、光を嫌い、暗く湿った場所を好む昆虫です。そんな彼らが、自ら強い光と熱を発する照明器具の中にまで入り込んでいる。この異常な行動には、いくつかの深刻な背景が考えられます。第一に、「巣が飽和状態になっている」可能性です。天井裏や壁の中、あるいはキッチンのどこかにある巣が、すでにゴキブリで満員状態になり、溢れ出た個体が、新たな隠れ家を求めて、通常では考えられないような場所、すなわち天井を徘徊し、照明器具の隙間にまで逃げ込んできている、というケースです。第二に、「天井裏が巨大な巣窟になっている」可能性です。特に、天井裏は、暖かく、暗く、外敵もいないため、ゴキブリにとっては最高の繁殖場所です。そこで大繁殖したコロニーの一部が、餌を求めて、あるいは明かりに誘われて、天井に設置された照明器具の配線穴などを通じて、室内へと降りてきているのです。この場合、あなたが目にしているのは、巨大な軍団の、ほんの斥候部隊に過ぎません。いずれにせよ、照明器具の中にゴキブリがいるということは、もはや「一匹いたら百匹いる」という法則が、現実のものとなっている可能性が非常に高いのです。目の前の死骸を処理するだけで満足していては、問題は解決しません。その発見を機に、家全体を対象とした、ベイト剤(毒餌)の設置や、専門業者への相談といった、根本的な駆除へと、直ちに舵を切る必要があります。
最悪のシナリオ!電気の中にいるのがゴキブリだった場合