ある日の夜、ふとリビングの天井を見上げた瞬間、照明カバーの内側で、黒く大きな影がうごめいているのに気づき、背筋が凍るような思いをしたことはありませんか。それは、小さなコバエなどとは比較にならない、明らかに「でかい」と認識できるサイズの虫。密閉されているはずの電気の中に、一体なぜ、そしてどこから、こんな虫が入り込んでしまったのでしょうか。この奇怪な現象の犯人として、最も可能性が高いのは、「クモ」や「カメムシ」、あるいは羽を持つ大型の「ガ」や「コガネムシ」、そして最悪のケースとして「ゴキブリ」などが挙げられます。彼らが照明器具の中に侵入してしまう主な理由は、二つの本能的な習性にあります。一つは、多くの夜行性の虫が持つ「正の走光性」、つまり光に強く引き寄せられるという性質です。夜間、暗闇の中で煌々と輝く家の照明は、彼らにとって抗いがたい魅力を持つ灯台のようなもの。その光を目指して飛来し、窓や壁にたどり着きます。そして、もう一つの理由が、彼らが持つ「わずかな隙間にも侵入する能力」です。照明器具は、一見すると密閉されているように見えますが、実は、電球の熱を逃がすための通気口や、カバーと本体の間のわずかな隙間、あるいは天井との接合部分など、虫が侵入できる小さな「セキュリティホール」が存在するのです。光に誘われて天井付近までやってきた虫は、照明器具から漏れ出す、より強い光と熱を感知し、その隙間を探し当てて、内部へと侵入してしまいます。そして、一度中に入ってしまうと、外に出る方法が分からなくなり、中で力尽きてしまう。これが、「電気の中に虫」という、不気味な現象が生まれるメカニズムなのです。その一匹の存在は、単に不快なだけでなく、あなたの家の気密性に問題があること、そして、他の害虫も同じ経路で侵入してくる可能性があることを示す、危険なサインでもあるのです。
電気の中に虫!その正体と侵入経路の謎