一軒家でバルサンを使用する際、多くの人が頭を悩ませるのが、「一体、何個のバルサンを、どこに置けば良いのか?」という、個数と配置の問題です。これを間違えると、薬剤が家全体に行き渡らず、効果にムラができてしまい、生き残った害虫が、安全なエリアで再び繁殖を始める、という最悪の結果を招きかねません。まず、必要な「個数」の計算方法です。バルサンの製品パッケージには、「6~8畳用」「12~16畳用」といったように、適用される部屋の広さが必ず明記されています。家の間取り図を用意し、LDK、寝室、子供部屋、和室など、バルサンを使用する全ての部屋の広さ(畳数)を合計し、その総面積をカバーできるだけの個数を準備するのが基本です。この時、廊下や階段、洗面所といった小さなスペースも忘れずに計算に入れましょう。例えば、延床面積が30坪(約60畳)の一軒家であれば、12畳用のバルサンが5個必要、といった具合です。次に、重要なのが「配置」です。原則として、バルサンは「各部屋の中央」に置きます。これにより、煙や霧が部屋全体に均等に拡散しやすくなります。LDKなどの広い空間の場合は、一つの強力なタイプを置くよりも、6~8畳用などの標準的なタイプを、部屋の両端に二つ置くなどして、複数設置する方が、より効果的に薬剤を行き渡らせることができます。そして、一軒家ならではの重要なポイントが、「天井裏(屋根裏)」と「床下」の扱いです。これらの空間は、ゴキブリやネズミの巣になっている可能性が高く、可能であれば、ここにもバルサンを設置したいところです。天井裏には、点検口から、煙タイプのバルサンを設置します。床下も、点検口がある場合は同様に設置可能ですが、湿気が多い場所なので、水を使うタイプのバルサンは避けた方が賢明です。ただし、これらの空間での使用は、火災のリスクなども考慮し、製品の説明書をよく読み、自己責任で慎重に行う必要があります。不安な場合は、無理をせず、専門業者に相談するのも一つの手です。家全体の構造を考え、戦略的にバルサンを配置すること。それが、一軒家という立体的な戦場を、完全に制圧するための鍵となるのです。
部屋数が多い一軒家、バルサンの賢い個数と配置