広々とした一軒家は、快適な暮らしを提供する一方で、害虫にとっても多くの隠れ家と侵入経路を提供する、格好のターゲットとなり得ます。ゴキブリやダニといった不快な害虫を、家全体から一掃したいと願う時、部屋の隅々まで殺虫成分を行き渡らせる「バルサン」は、非常に心強い味方となります。しかし、マンションやアパートと異なり、部屋数が多く、空間が複雑な一軒家でバルサンの効果を最大限に引き出すためには、いくつかの重要なポイントと、正しい使い方を理解しておく必要があります。まず、大原則として、バルサンは「家全体で、同時に使用する」ことが鉄則です。例えば、ゴキブリの発生が気になるキッチンだけでバルサンを焚いたとしても、危険を察知したゴキブリは、煙の届かない隣のリビングや、二階の寝室、あるいは天井裏へと、一時的に避難するだけです。そして、薬剤の効果が切れれば、何食わぬ顔でキッチンへと戻ってきます。これでは、単にゴキブリに家の間取りを教えただけで、根本的な解決にはなりません。全ての部屋、そして可能であれば天井裏や床下収納といった空間も含めて、同時にバルサンを使用することで、彼らの逃げ道を完全に断ち切り、家全体を包囲殲滅することが可能になるのです。そのためには、家の延床面積に合った、適切な数と種類のバルサンを用意する必要があります。製品のパッケージには、適用される部屋の広さ(畳数)が明記されています。事前に家の間取り図を確認し、各部屋の広さに応じた製品を、必要な数だけ準備しましょう。「大は小を兼ねる」と、小さな部屋に強力すぎるタイプを使うのは、薬剤の過剰散布となるため避け、適切な容量のものを選ぶことが重要です。一軒家という広大な戦場で勝利を収めるためには、まず、敵の逃げ道をなくすための、周到な作戦計画が不可欠なのです。
一軒家のバルサン、その効果を最大限にするための基本