バルサンを使用し、指定された時間、家を空けた後。これでミッション完了、と安心してしまうのは、実はまだ少し早いかもしれません。一軒家という広い空間では、帰宅後の「換気」と「掃除」のプロセスも、マンション以上に計画的かつ丁寧に行う必要があります。この最後の仕上げを正しく行うことが、家族の安全を確保し、駆除の効果を確実なものにするための、重要なステップとなります。まず、家に戻ったら、何よりも先に「換気」を開始します。家の中には、まだ殺虫成分を含んだ煙や霧が充満しています。玄関のドアを開けたら、すぐに一階の、対角線上にある二つの窓を全開にし、空気の通り道を作ります。その後、二階へ上がり、同様に全ての部屋の窓を開け放ち、家全体の空気を完全に入れ替えることを目指します。この時、キッチンのレンジフードや、各部屋の換気扇も最大にして回すと、より効率的に換気が進みます。換気時間の目安は、「最低でも30分以上」。できれば1時間程度、じっくりと時間をかけて、室内の空気が完全に入れ替わったと感じられるまで行うのが理想的です。換気が完了したら、次に「掃除」の工程に入ります。床や畳の上には、力尽きた害虫の死骸が転がっているはずです。これらは、アレルギーの原因となるため、まずは掃除機で一気に吸い取ります。この時、掃除機の排気で死骸の微細な破片が舞い上がらないよう、ゆっくりと作業を進めるのがコツです。掃除機をかけた後は、「拭き掃除」です。小さな子供やペットがいるご家庭では、彼らが床を舐めたりする可能性があるため、この水拭きが極めて重要になります。固く絞った濡れ雑巾で、一階から二階まで、全ての部屋の床を丁寧に拭き上げていきましょう。また、食卓やリビングのテーブル、ドアノブなど、手が頻繁に触れる場所も、忘れずに拭いておきます。ただし、壁や天井、家具の側面など、通常は直接触れることのない場所まで、神経質に拭き上げる必要はありません。これらの場所に付着した薬剤は、後から侵入してきた害虫を駆除する「残効性」も期待できるからです。この一連のプロセスを完了して初めて、あなたの家は、害虫のいない、安全で快適な空間へと生まれ変わるのです。
バルサン後の一軒家、換気と掃除の正しい手順