バルサンを使用する際の手順や注意点は、基本的にはどの住居形態でも同じですが、「一軒家」という環境ならではの、特に注意すべき、いくつかの特有のポイントが存在します。これらを見落とすと、思わぬトラブルや、効果の半減を招く可能性があるため、しっかりと頭に入れておきましょう。まず、第一の注意点が、「火災報知器の数と場所」の完全な把握です。近年の新築一戸建て住宅には、建築基準法により、寝室や階段の上など、複数の場所に火災報知器の設置が義務付けられています。バルサンを使用する前には、家の全ての部屋を回り、火災報知器がどこにあるのかを完全に把握し、一つ残らず、付属のカバーやビニール袋で覆う必要があります。一つでも見落としがあると、けたたましい警報音が鳴り響き、大騒ぎになる可能性があります。次に、一軒家ならではの空間である「天井裏(屋根裏)」と「床下」の扱いです。これらの場所は、害虫の巣窟となっている可能性が高く、駆除の際には重要なターゲットとなります。しかし、天井裏には、照明器具の配線などが複雑に通っており、床下は湿気が多いなど、特殊な環境です。これらの場所でバルサンを使用する場合は、火災や漏電のリスク、あるいは湿気によるカビの発生などを考慮し、製品の選択(煙タイプか、水タイプかなど)や、設置場所に、細心の注意を払う必要があります。不安な場合は、無理をせず、専門業者に相談するのが賢明です。そして、意外な盲点となるのが、「ペットの避難場所」です。庭で犬を飼っている場合でも、家の中から漏れ出した煙や匂いが影響を及ぼす可能性はゼロではありません。可能であれば、敷地の外へ、一時的に避難させてあげるのが、最も安全な選択と言えるでしょう。また、池で鯉などを飼っている場合も、薬剤が流れ込まないように、池全体をシートで覆うなどの配慮が必要です。部屋数が多く、構造が複雑な一軒家だからこそ、マンション以上に、周到で、抜け漏れのない準備と計画が求められるのです。
集合住宅とは違う!一軒家ならではのバルサンの注意点