家の中でふと視界の端をよぎる小さな影に気づいたとき私たちの心臓は一瞬にして早鐘を打ちますがそれが黒く光るあの忌まわしい害虫であればなおさらですがもしその虫が赤かったとしたら恐怖とともに困惑が頭をよぎることでしょう。赤いゴキブリなどという種類が日本にいるのかあるいは新種の害虫なのかそれとも突然変異なのかと不安になるのは当然の反応ですが結論から言えば日本国内の一般家庭で見かける赤いゴキブリの正体は多くの場合私たちがよく知るクロゴキブリの幼虫であるかあるいは脱皮した直後の個体である可能性が極めて高いのです。まずクロゴキブリの幼虫について詳しく見ていくと成虫になれば漆黒の輝きを放つ彼らも生まれたばかりの頃から黒いわけではなく孵化した直後の幼虫は白っぽい色をしていますがすぐに黒っぽい色へと変化しますが成長の過程である中齢幼虫と呼ばれる時期には赤褐色や濃い茶色をしていることが多く特に脱皮を繰り返して体が大きくなるにつれてその赤みは増していく傾向があります。光の当たり具合によっては鮮やかな赤色に見えることもありこれが赤いゴキブリとして目撃される正体の一つであり幼虫の時期には背中に白い縞模様が入っていることも特徴的ですが成長するにつれてこの模様は薄れ全体的に赤茶色の光沢を帯びた姿へと変わっていきます。つまりあなたが目撃した赤い虫は未来の巨大な黒いゴキブリへと変貌を遂げようとしているまさに成長期の個体である可能性が高いのです。もう一つの可能性として考えられるのが脱皮直後の個体であり昆虫の多くは成長するために古い殻を脱ぎ捨てる脱皮を行いますがゴキブリも例外ではなく硬い外骨格を持つ彼らは体を大きくするために定期的に脱皮を繰り返し古い殻を脱いだ直後の体は非常に柔らかく色素が定着していないため透き通るような白色やクリーム色をしています。この白い状態から時間が経過して外骨格が硬化するにつれて徐々に色が濃くなっていきその過程で白から飴色そして赤褐色を経て最終的な黒色や濃褐色へと変化していくためこの移行期間にある個体を目撃した場合それはまさに赤いゴキブリとして認識されることになります。脱皮は彼らにとって無防備で危険な瞬間であるため通常は物陰に隠れて行われますが何らかの拍子に人目に触れる場所に出てきてしまった場合その奇妙な赤い姿が目撃されることになるのです。また種類そのものが茶色や赤褐色である場合もあり代表的なのがチャバネゴキブリで彼らはクロゴキブリよりも小型で成虫になっても色は薄い茶色あるいは黄褐色をしておりこれを赤っぽいと表現する人もいるでしょう。チャバネゴキブリは寒さに弱いため一般の木造住宅よりも常に暖房が効いている飲食店やビルやマンションなどで多く見られますがもしあなたが目撃した赤いゴキブリが小型でかつ薄い茶色をしていたならそれはクロゴキブリの幼虫ではなくチャバネゴキブリの成虫である可能性も疑わなければなりません。