「電気の中に虫が入る」という問題は、実は、あなたの家に取り付けられている照明器具の「種類」によって、その侵入のしやすさと、有効な対策が大きく異なります。自分の家の照明がどのタイプなのかを把握し、それぞれの弱点に合わせた、的確な対策を講じることが重要です。まず、最も虫が侵入しやすいのが、ペンダントライトやシャンデリアなどの、「開放型の照明器具」です。これらは、電球がむき出しであったり、笠が上向きに開いていたりするため、虫にとっては、何の障害もなく入り込める、ウェルカムな構造です。対策としては、電球そのものを、虫が寄りにくいLED電球に交換することが、最も効果的です。次に、一般的な住宅で最も多く使われているのが、天井に直接取り付ける「シーリングライト」です。近年のLEDシーリングライトは、カバーと本体の間にパッキンが付いているなど、気密性が高く、虫が侵入しにくい「防虫性能」を謳った製品が多くなっています。しかし、古いタイプのシーリングライトや、安価な製品の中には、カバーと天井の間に隙間があったり、熱を逃がすための通気口が開いていたりするものがあります。これらの隙間が、虫の侵入経路となります。対策は、これらの隙間を、スポンジ状の隙間テープなどで、丁寧に塞いでしまうことです。また、天井と照明器具の接合部分(シーリングボディ)の周りに隙間がある場合は、そこもコーキング剤などで埋めると、天井裏からの侵入を防ぐことができます。そして、意外な侵入経路となるのが、「ダウンライト」です。天井に埋め込まれているため、密閉されているように見えますが、実は、天井裏と繋がっている隙間が多く存在します。天井裏がゴキブリなどの巣になっている場合、ここから室内に侵入してくるケースも少なくありません。対策としては、ダウンライト専用の防虫カバーを取り付けたり、天井裏全体に、くん煙剤を焚いたりすることが有効です。家の照明を新しく購入、あるいは交換する際には、デザインや明るさだけでなく、この「防虫性能」という観点も、ぜひチェックリストに加えてみてください。その小さな選択が、未来の不快な遭遇を、未然に防いでくれるはずです。