布団の中であなたを刺す見えない敵。その正体は、主に「ダニ」か「トコジラミ(南京虫)」のどちらかです。両者は、被害の様相や駆除の難易度が大きく異なるため、どちらが犯人なのかを正しく見分けることは、効果的な対策を講じる上で非常に重要です。まず、被害の状況から見分ける方法です。「ダニ(主にツメダニ)」による刺され跡は、主にへその周りや脇の下、太ももの内側といった、肌の柔らかい部分に集中する傾向があります。一つ一つの発疹は小さく、広範囲にポツポツと散らばっていることが多いです。「トコジラミ」による刺され跡は、より特徴的です。彼らは、吸血しながら少しずつ移動するため、腕や足、首筋といった露出した部分に、赤い発疹が線状に、あるいは数カ所かたまって並ぶことがよくあります。また、トコジラミの被害は、ダニよりもはるかに強い、耐え難いほどのかゆみを伴うのが一般的です。次に、布団やベッド周りに残された「痕跡」で判断する方法です。ダニは非常に小さいため、肉眼でその姿や痕跡を見つけるのは困難です。一方、トコジラミは、成虫になると体長5~8ミリ程度の大きさになり、褐色で丸く平たい体をしているため、もし発見できれば一目瞭然です。また、彼らは吸血後に、血糞(けっぷん)と呼ばれる、黒いインクのシミのような糞をします。シーツやマットレスの縫い目、ベッドフレームの隙間などに、この黒い点々としたシミが複数見つかったら、それはトコジラミが潜んでいる極めて強力な証拠です。さらに、トコジラミは独特の甘ったるい悪臭を放つこともあります。刺され跡のパターンと、ベッド周りの痕跡。この二つの情報を組み合わせることで、あなたの安眠を妨げている犯人の正体は、おのずと明らかになります。そして、もし犯人がトコジラミであった場合は、自力での駆除は極めて困難なため、速やかに専門の駆除業者に相談することをお勧めします。