私の平穏な日常は、一冊の古いアルバムを開いた瞬間に終わりを告げました。思い出の写真を探していたその時、ページの隙間から、銀色にキラリと光る小さな虫が素早く這い出してきたのです。それが、私と紙魚との長い戦いの始まりでした。初めて見るその奇妙な姿に、私は思わず声を上げそうになりました。魚のような形をしているのに、脚があってクネクネと動く。その不気味な姿は、一度見たら忘れられませんでした。一体この虫は何なのか、そして何よりも、どこからやって来たのか。その日から、私の頭の中はその疑問でいっぱいになりました。インターネットで調べ、すぐにその正体が「紙魚」という、本や紙を食べる害虫であることを知りました。そして恐ろしいことに、一匹見つけたら、見えない場所にはもっとたくさんいる可能性があるというのです。私は家中を捜索し始めました。すると、本棚の奥や、何年も開けていなかった段ボール箱の中から、次々と彼らの姿を発見したのです。特に、昔の卒業アルバムや、両親から譲り受けた古書は、彼らの格好の餌食になっていました。ショックでした。大切な思い出が、見えないところで静かに蝕まれていたのです。私はまず、全ての書籍を一度本棚から出し、一冊ずつ丁寧に確認する作業から始めました。そして、彼らが好む湿気を断つため、除湿剤を家のあちこちに置き、換気を徹底しました。段ボールは全て処分し、衣類も風通しの良い場所に保管し直しました。最初はどこから手をつけていいか途方に暮れましたが、彼らの生態を知り、好む環境を一つずつ潰していくことで、徐々にその姿を見かける回数が減っていきました。この経験を通じて学んだのは、見て見ぬふりをしないことの大切さです。一匹の紙魚は、住環境が悪化しているという家からの静かな警告サインなのかもしれません。あの日以来、私はこまめな掃除と換気を何よりも大切にするようになったのです。
ある日突然現れた銀色の虫!私の紙魚との戦いの記録