それは蒸し暑い夏の夜のことでしたが私は喉の渇きを覚えて目を覚まし寝室を出て台所へと向かいました。冷蔵庫の冷たい麦茶を飲もうと明かりをつけた瞬間キッチンの床の上をササッと走る何かが視界に入りましたが普段見慣れている黒いアイツとは少し違う色合いに違和感を覚えました。動きはゴキブリそのものでしたが色は明らかに赤くまるで赤茶色のプラスチック片が意思を持って動いているかのような不気味さがありました。私は一瞬これは新種の外来種ではないかと疑い背筋が凍るような感覚に襲われましたがすぐさま殺虫剤を手に取りその赤い侵入者に向かって噴射しました。奴は黒いゴキブリよりも少し小さいものの動きは敏捷で冷蔵庫の隙間へと逃げ込もうとしましたが執拗なスプレー攻撃によりついに動きを止めました。ティッシュで死骸を包んで捨てようとしたとき改めてその姿を観察してみるとそれは紛れもなくゴキブリのフォルムをしていましたが背中にはうっすらと白い縞模様のようなものがあり全体的に赤褐色を帯びていました。後になって調べて分かったことですがそれはクロゴキブリの幼虫だということであり成虫になる前の段階ではあのような赤っぽい色をしているという事実を知り私は二重のショックを受けました。つまりあの赤い個体がいたということは我が家のどこかに卵が産み付けられすでに孵化して成長している兄弟たちが潜んでいる可能性があるということを意味していたからです。成虫が外部から侵入してきただけなら単発の戦いで済みますが幼虫がいるということはすでに敵の拠点が家の中に築かれている可能性が高くこれこそが赤いゴキブリを見つけたときの本当の恐怖なのだと痛感しました。私は翌日から徹底的な掃除とベイト剤の設置を開始しましたが家具の裏やシンクの下など普段は見ない場所に潜む闇を想像するだけで夜も眠れない日々が続きました。赤いゴキブリは単なる色の違いではなく繁殖のサインであるという教訓は私の脳裏に深く刻まれそれ以来小さな変化も見逃さないようキッチンの衛生管理には人一倍気を使うようになりました。もし皆さんが家の中で赤いゴキブリを見かけたらそれは単なる迷子ではなく家族(仲間)が近くにいる合図だと思った方が良いでしょう。彼らは成虫になるまで何度も脱皮を繰り返しそのたびに一回り大きくなり色も濃くなっていきますがあの赤い色は彼らがまだ発展途上でありこれからさらに脅威となる存在へ進化していく過程であることを示しています。早期発見と早期駆除こそが平穏な生活を取り戻す唯一の手段でありあの赤茶色の恐怖を二度と味わわないためにも日頃からの対策を怠ってはならないのです。