ゴキブリの卵対策を講じる上で敵を知ることは不可欠ですが日本でよく見られるクロゴキブリとチャバネゴキブリではゴキブリが卵をどこに産むかという習性や扱い方が全く異なるためそれぞれの特徴に合わせたアプローチが必要となります。まず一般家庭でよく見かける大型の黒いゴキブリであるクロゴキブリですが彼らのメスは産卵の準備が整うとあずき色の卵鞘をお尻から出しそれを人目につかない安全な場所に「隠す」という行動をとります。彼女たちは単に産み落とすのではなく口から出す粘着性の分泌物を使って卵鞘を壁や家具の裏側にしっかりと貼り付けさらに周囲にある木屑やゴミをまぶして周囲の風景に溶け込ませるという迷彩工作まで行う知能犯です。そのためクロゴキブリの卵鞘は冷蔵庫の裏、シンクの下、植木鉢の影、押し入れの奥など湿気があって暗い場所にひっそりと隠されており発見するのは容易ではありません。彼らは卵を産み終えると育児放棄して立ち去りますが卵鞘という頑丈なシェルターのおかげで卵は孵化まで安全に守られます。一方飲食店やビルなどで問題となる小型の茶色いゴキブリであるチャバネゴキブリは全く異なる生存戦略をとっておりメスは産んだ卵鞘を孵化する直前まで自分のお尻にくっつけて持ち歩くという「抱卵」スタイルを貫きます。これは卵鞘の殻がクロゴキブリほど厚くなく乾燥に弱いため母親自身の体からの水分供給と移動による外敵からの回避によって卵を守ろうとするためです。チャバネゴキブリのメスは卵を持っている間は動きが鈍くなり物陰に潜んでいることが多いため私たちが目にするチャバネゴキブリの多くは卵を持っていない個体かオスですが巣の奥深くでは卵を抱えたメスが大量に待機しているのです。チャバネゴキブリの場合、卵を「どこに産む」かという問いに対しては「産む場所を探すのではなく孵化するその瞬間まで肌身離さず持っている」というのが正解であり彼らが潜んでいる場所そのものが孵化場所となります。つまりチャバネゴキブリの場合は卵だけを見つけ出して駆除することは難しく卵を持ったメスごと駆除する必要がありますがクロゴキブリの場合は隠された卵鞘を探し出す「宝探し」のような作業が必要になるのです。またヤマトゴキブリという種類は卵鞘を産み落とした後に軽く土や枯れ葉をかけて隠す程度のやや雑な習性がありワモンゴキブリは比較的無造作に物陰に産み落とすことが多いなど種類によって性格の違いが見られます。どの種類であれ共通しているのは「乾燥を嫌う」という点と「外敵に見つかりにくい場所を選ぶ」という点ですがクロゴキブリのように接着して隠すタイプは掃除の際に見落としやすくチャバネゴキブリのように持ち歩くタイプは親を逃がせば卵も逃がすことになるためそれぞれに厄介さがあります。自分の家に出ているゴキブリがどの種類なのかを見極めその産卵習性に合わせた捜索と駆除を行うことが根絶への近道であり敵の生態を理解した上での頭脳戦こそが勝利への鍵となるのです。